【完】君しか見えない
俺も十羽にならってあん饅を頬張れば、あったかさと甘さとが口の中に広がった。
『ほんとだ。
家で食べるんじゃなくてさ、こうやって道草して食べるから、余計美味しいんだよね』
『だね、間違いない』
こんなにあん饅って、甘かったっけ。
『……幸せだなぁ、俺』
『え?』
『なんか、こういうなんでもない毎日が幸せ』
十羽がいるから。
十羽が隣にいてくれる毎日が幸せなんだと、ある時ふと思う。
空がこんなに青く見えるのは、きっと十羽が毎日を鮮やかに色づけてくれているからなんだろう。