【完】君しか見えない
楓くんの声だけが輪郭を持って聞こえ、頭の中に波紋のようにじんわりと広がって。
徐々に意識がしっかりしてくる。
「え……」
今……。
言葉の意味を理解した途端、感情の波がすごい勢いで押し寄せてきて。
う、そ……。
なんて言ったの?
楓くんが、私のことを……?
「ずっと、小さい頃からずっと、十羽しか見てなかった。
もう幼なじみの関係じゃ、足りない。
だから、俺と付き合って」
「……っ」
楓くんの言葉は、まっすぐに胸の中に飛び込んできて、心臓を揺さぶる。