【完】君しか見えない
時間を忘れてめいっぱいはしゃいで、たくさん笑って。
1時間ほど遊び、私たちは海を後にした。
ところどころ濡れた服を乾かしがてら、海沿いの道を歩く。
「あ"ー、疲れた」
まだまだ元気が有り余る私とは対照的に、楓くんは肩に手を当て疲労感たっぷりの声をあげた。
「体力の衰え、こえー」
「ふふ、お疲れさまです!
楓くんのおかげで楽しかった〜」
歩きながら伸びをしていると、楓くんが尋ねてくる。
「なんで海に来たかったんだよ、こんな真冬に。
夏に来れば泳げんのに」
「今日じゃなきゃだめだったから」
「ふーん?
でもま、冬の海も超楽しかったけど」
「ね、楽しかった」
「次、どこ?」
「次……」
つぶやいて、思わず足が止まる。