【完】君しか見えない
「どしたの?楓」
「あーいや、なんか窓の外にだれかいたんだよね」
「えー? あんなとこに人いるわけないよぉ。
見間違いじゃない?」
「かもね。俺疲れてんのかも」
「えー、じゃあマイが癒してあげる!」
「お、ラッキー」
楓くんと女の子の話し声を聞きながら、私はある疑念を抱いた。
……もしかして、楓くん、私のこと見えてる?
だって今、私のまわりには人はいないし、だれかと間違えたわけがない。
それに一瞬だけど、窓枠から覗かせた目が、楓くんのそれとたしかに合った。
他の人には見えてないのに、楓くんには私の姿が見えてるとしたら、なぜ?