【完】君しか見えない
楓くんが頬杖をしたまま、感情の読み取れない表情を浮かべる。
そして。
「簡単に触らせんなよ」
無機質な目でそう言って、再び私の髪をなぞった。
「え……?」
「おまえ、隙ありまくりだから」
ドキン、と心臓が揺れる。
ねぇ、楓くん。
それって……。
「それって、幼なじみとしての忠告……?」
静かに訊ねると、楓くんは視線を斜め下に向け、表情をなにひとつ崩さないままつぶやいた。
「そうだね」
それは、まっすぐで揺るぎのない声だった。
……そっか、そうだよね。
そんなの、わかりきったことなのに。
私バカだから、一瞬期待しちゃった。