【完】君しか見えない
「今もモテモテだよね、楓くん。
女の子が楓くんのことを放っておくはずないもんなぁ」
少し不満げにそうつぶやくと。
「十羽は?」
「え?」
予期せぬ言葉にはっと楓くんに視線を向けると、ふと手が伸びてきて、その手は私の髪をなぞった。
さらりと、慈しむような手つきで。
「……っ」
「この髪、他の男に触られた?」
私の目を容赦なく見つめてくる、色っぽく艶やかな瞳。
暗い教室の中でも、瞳だけは月明かりを受けて存在感を放っている。
私は今にも口から出そうなほどに暴れている心臓の鼓動を聴きながら、全力で否定するようにふるふると首を横に振る。
「高校でも怖い人って思われてたから……」
「ふーん」