【完】君しか見えない


「いつから待ってたんだよ」



「うーんと、今さっき、かな」



嘘つけ。

そんなに鼻赤らめて、なにが今さっきだよ。



俺は吐き捨てるように言葉を投げつける。



「おまえ暇なの?
俺が何時に帰ってくるか知らないくせに、ずっと待ってたとか」



すると十羽が正面を向き、口を開いた。



「楓くんに、おかえりって言いたくて」



「え?」



十羽の口から紡がれたのは、思いがけないほど、まっすぐで芯の通った声だった。



「クリスマスイブ、3年も一緒にいられなかったから」

< 51 / 360 >

この作品をシェア

pagetop