【完】君しか見えない
高校から自宅までは、徒歩で行くとそれなりに距離がある。
山をひとつ越えたところに自宅があるからだ。
それでも気分転換の時間とも思えば、徒歩通学も大して苦でもない。
やがて、自宅最寄りのバス停に差し掛かる。
すると、
……いた。
真っ白なマフラーに顔を埋め、バス待合所の長椅子に腰掛ける、あいつが。
「十羽」
「……あっ、楓くん!」
待合所の入り口から声をかけると、顔を上げるなり笑顔を浮かべる十羽。
「おかえり。
楓くん、ここなら通るかなって待ってたんだ」
長椅子に腰かけながら、横に座っている十羽を見やる。