【完】君しか見えない


『……楓くんは優しいよね』



『ん?』



『いつだって助けてくれて。
楓くんが人気者なのも、すごくよくわかるもん』



するとにこにこ笑っていた楓くんの瞳に、笑みを残しながらも真剣な光が宿った。



『十羽だから、優しくしたいんだよ。
みんなにそうしてるわけじゃない。
十羽だけは、特別』



『……っ』



『十羽は俺が守るよ』



甘い響きを持ったその声に、ふっと涙腺が緩んで、引き締めていたはずの心が震えるのがわかった。



楓くんの優しい言葉に絆されるみたいに弱音がこぼれそうになって、私は思わずうつむく。



『楓くん』



『ん?』



ゆっくりと背中を押すような、楓くんの問い。



焦らないでいいよ、待ってるから。

そう言ってくれているのが、その声音から伝わってきた。

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