【完】君しか見えない


この前は、意地を張って『楓くんには今更見惚れない』なんて言っちゃったけど、

……大嘘だよ。



今も十分すぎるくらいには、見惚れてる。



「なにひとりでニヤニヤしてんだよ。
置いてくぞ」



いつの間にかスタスタと歩きだしていた楓くんが、振り返りざまべっと舌を出す。



「あっ、待ってー!」



立ち上がり、駆けて楓くんの隣に並んだ。



ねぇ楓くん。


すごくすごく図々しいってわかってるんだけどね、これをデートって心の隅でちょこっとだけ思っていいかな。



楓くんとデートなんて、夢のまた夢すぎて、現実のはずなのにふわふわしてしまうよ。

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