【完】君しか見えない
薄暗かったあたりは、6時半にはすっかり真っ暗になっていた。
これなら街中に出ても、きっと楓くんも目立たないはず。
ほっと安堵して、バスの待合所の窓から空を見上げる。
こっちは安心できなそうだけど……。
と、その時。
「十羽」
突然名前を呼ばれ、そちらを振り向けば、待合所の入り口に楓くんが立っていた。
「楓くん……!」
ど、どうしよう。
楓くんの私服かっこよすぎる……!
長椅子に座ったまま、無意識のうちに見惚れてしまう。
思えば、楓くんと再会してから制服姿しかまともに見たことがなかった。
制服姿がかっこいいのはもちろんなんだけど、私服はやっぱり雰囲気が違う。