【完】もう一度、キミのとなりで。

わけが分からないまま彼のほうを振り返ると、無表情のまま答える彼。


「俺がカツ丼食うから、お前はそれ食えば?」


「えぇっ!」


「オムライス食いたかったんだろ?」


よく見てみると、その手渡された食券はオムライスの券だ。


……うそ、信じられない。だから私に今聞いてきたんだ。


思いがけない彼の優しさに胸が熱くなる、と同時に申し訳なくなる。


「で、でも、悪いよっ……」


実際オムライスとカツ丼、値段はそんなに変わらないけれど、矢吹くんだって本当は他に食べたいメニューはあったんじゃないのかな?


私のためにカツ丼になっちゃっていいのかな?


「べつに。

食いきれなくて残すほうがもったいねぇし」


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