円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~


「そんなことにですって?
私、自宅に菜園を持っているのよ。
今年もたくさん収穫したわ」
トーマスの目が輝いた。

「なんだって?
君が自分で耕してるみたいじゃないか。
こんなところで、ウィリアム以外に、
僕の事業に、興味を持ってくれる人が
いるなんて信じられない」

エリノアは、彼に向けて笑顔を作った。

「みたいじゃなくて、本当に
してるわよ。作付けの研究もしてるの」

「君が?嘘だろう?
本当にそんなことしてるの?」

「もちろん。本当よ。作物って楽しいわ」

トーマスが、
彼女の手をガッチリ握っていた。

「そうだね。
僕は、君といる方が楽しいけど……」

「ねえ、トーマスさん、
来年は何を植えるか決まってるの?」

「もちろん。市場を考えて
対策を取ってると思う」

「凄いのね。見てみたいわ」

「いいよ。一緒に行こう。
君を連れていこうかな。ねえ、アメリカに遊びに来ないか?」

「そうね。楽しそう」

「ん、楽しいよ。何なら、
そのまま一緒に住めばいい」


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