円舞曲はあなたの腕の中で～お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する～

エリノアは、メアリーに耳もとで言う。

「メアリー、ウィリアムには丁重にお断りをして。
出来れば、ディナーの前には、お帰り頂きましょう」

メアリーが驚いて言う。

「エリノア？
まさかウィリアムを、食事も出さずに彼を追い返すの？」

「それは、人聞きの悪い言い方ね。
高貴な出の従兄様には、
いくら美味しい、取れたての芋でも、
ジャガイモ尽くしの食事っていうわけには、行かないでしょう？」

「ええ、そうね」

それに、侯爵ともあろう人が、
たかが舞踏会の言伝てだけのために、
伝書鳩のような真似をされては、たまらない。