円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
エリノアは、メアリーに古びたドレスを見せながらいう。
「それに、今日はダメよ。私こんな格好だし。
ウィリアムが来たら、私、侍女の振りするから。
メアリー、後はよろしく」
エリノアは一日、
畑で作業をするつもりだったから、
汚れてもいいように古い服を着ていた。
顔は日に焼けて赤くなり、体中、
汗でぐっしょり濡れている。
とても、ウィリアムの前に
出られる状態ではない。
ウィリアムが、二人の目の前で馬を止めた。
彼は、馬から下りると、
馬の鼻先をジョンの方に向けた。
気性の荒い馬だが、ジョンには慣れている。
ウィリアムは、頻繁にこの馬で
エリノアの屋敷まで訪ねて来て、
ジョンが世話をしているからだ。