円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
エリノアが必死に見よう見まねで、
使用人のふりをしている。
何してるんだと、問いただしてもいいが、
このまま見物していた方が面白い。
黙って様子を見ることにした。
エリノアが畑にいることは、
林を抜けたところから、
ずっと気が付いていた。
そのことを、彼女に告げたら、
顔に出して悔しがるだろうと想像した。
下男たちに混じって、
使用人とは似つかない、優雅な動作で
農作業をしていれば、それが誰だか、
考えなくともわかる。
いったい、なに考えてるんだ?
隠すようなことか?
ウィリアムは、
笑いそうになるのをこらえた。
彼女が、使用人の振りをして、
ずっと下を向いている理由が
分からないわけではない。
でも、秘密にするようなことも
ないじゃないか?
エリノアは、このことに
触れられたくないのだろう。
触れられたくないのなら、
後で、その話題に触れてやろう。
ウィリアムは、午後の楽しみを
見つけたと思った。