円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
ウィリアムは、メアリーの方を向いて
愛想よく微笑んだ。
後でエリノアのいないところで、
姉のメアリーにこっそり尋ねてみよう。
「ウィリアム?やっぱり
伯爵家の用事でいらっしゃったの?」
「いいや。メアリー違うよ。
馬を走らせてたら、雨が降ってきそう
なんで、雨宿りをさせてもらおうと思って」
表向きは、ウィリアムもそう答えた。
けれど、実は、エリノアに、
伯爵家で開かれるパーティ来て欲しいと
直接、誘うつもりでいた。
多分、何も言わないと行かないというかもしれない。
まずは、彼女の話を聞いてみようと、
この屋敷を訪れたのだ。
なにしろ、彼女は、
社交の場が好きではない。
好きでないのは、ウィリアムも同じだ。
でも、好きでないまま放っておいて、
菜園に入れ込んでむあまり、
この屋敷に引きこもって、
行き遅れになっては、一族の長たる彼にとって具合の悪いことだった。