円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
雨粒が落ちて来て、
乾いた土に跡を残していく。
「ウィリアム、さあ、
屋敷へ行きましょう。
ぐずぐずしてると濡れてしまうわ」
メアリーが声をかけ、
ウィリアムを屋敷の方へ誘った。
ウィリアムは、振り返って、
後ろからついてくるエリノアを
ちらっと見た。
ちょうど、彼女が顔をあげた
タイミングで、彼は微笑んだ。
しっかりと目が合ったのに、
彼女は、やっぱり、使用人のように
下を向いて無反応で応じた。
こんなふうに無視されてしまうと、
いったいどういうつもりで、
このような、おかしな行動を
とるのだろうかと、問いただしたくなる。
ウィリアムは、
余計に訳を確かめたくなる。
くだらない試みなど止めろと、
言い聞かせなければ、
ならないではないか。
こういうところは、
素直に姉を見習うべきではないかと。
彼女をどうにかして、悔しがらせることが出来たら面白いのに。
ウィリアムは、屋敷に向かう途中
そんなことを考えていた。
すでに心の中は、彼女に対する
好奇心でいっぱいになってしまっている。
あまりエリノアのことだけ、
考えすぎるのもよくないと思った。