円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
ところが、しばらく外の様子を見ていた
夫のアストン氏が、何気なく口にしてした。
「いやあ、ウィリアム君。
外はひどい雨になって来たよ。
これから馬を走らせるんじゃ、
すっかり濡れてしまうじゃないか。
今夜は遠慮なく、
ここに泊まっていきなさい」
ウィリアムは、嬉しそうな顔を
アストン氏に向けた。
「それは、ありがたい申し出。
恐れ入ります」
彼は、アストン氏に丁寧に礼を言った。
そして、わざわざ、
エリノアの方に体を向けて言う。
「今日は、こちらにご厄介に
なりますがよろしいですか?」
エリノアは、ウィリアムには答えずに、
やはり、召使がするように
ペコンと頭を軽く下げた。
彼女は、どうぞご自由にとでも
言いたげに、儀礼的に挨拶をした。
メアリーが二人のやり取りを見て、
いてもたってもいられずに
「ウィリアムさん、
是非そうしてください」と言った。