円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
母が、いなくなると、
エリノアはメアリーの部屋へ
上がって行った。
メアリーは、エリノアが姿を見せると
そばに来て声をかけた。
「具合が悪いの?真っ赤よ。大丈夫」
「どこも悪くないわ。
日に焼けたところが、ちょっと
ひりひりするだけ。
体のことより、ねえメアリー?
私、今日は、
夕食の会に出ないことにしたわ。
この姿でウィリアムの前に出たら、
何て言われるか分からないもの」
彼を面白がらせる格好の材料を、
自ら与えるつもりはない。
「それに……」
「それに?」
「私、使用人の振りして誤魔化したのに、
赤い顔で、ウィリアムの前に出たら、
いくら何でも、バレてしまうもの」
エリノアは、メアリーには本音を言う。
「あら、そう」
メアリーは、いつも聡明で冷静な妹が、
まったく判断を間違えているのを見ると、不思議に思った。