円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~

エリノアは、自分の部屋に戻ると
読みかけの本を片づけた。

アリスに用事を伝えたら、
父の書斎に本を返しに行こう。


階下ではそろそろ夕食が始まり、
ウィリアムを囲んで、
楽しく会話が弾んでいることだろう。

エリノアは、侍女のアリスに頼んで、
部屋で食事をしたいと伝えておいた。


本を片づけ終え、休む間もなく、
アリスが部屋にやって来た。

そして、
エリノアの赤ら顔を見て悲鳴を上げた。


「いったい、どうなさったんです!!
そのお顔は?」

アリスが声を荒げるのは珍しい。


「分かってるわ。
だから、そんなに大きな声を出さないで」


「まさか、こんな陽気に日傘もささずに、
外にいらっしゃったんですか?」

指で触れて、熱を帯びてることに
気が付いて、
アリスはさらに、
非難めいたことを言いだした。

「仕方ないじゃないの。
ずっと畑にいたんだから」

「畑にいても、つばの広い帽子さえ
被っていれば……
まさか、暑いからって帽子を
脱いだんじゃありませんよね?」

「だって、頭がむしむしして、
たまらなかったのよ」

アリスは、
少々お待ちくださいと言って出て行くと、すぐに戻って来た。
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