円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
その頃、食堂でウィリアムを囲んで
夕食会が開かれていた。
待合室で、席次通りに並ばされると
聞いて、ウィリアムは嫌な予感がした。
ウィリアムの予感は的中した。
食堂の席に着くのに、
わざわざ仰々しく、
社交場の取り決めによって、
席次通りに入場から始める。
どうでもいい、しきたりから
夕食の晩餐が始まった。
ウィリアムが一番に省略すべきだと
思っている習慣だった。
こんなもの、身内の食事なのだから
いいのでは?と言いかけて止めた。
いつも彼の話に同調してくれる、
彼の同士のエリノアが、
食事の席にいなかったからだ。
彼は、エリノアが遅れてくるのを、
入り口を気にしながらじっと待っていた。
食事の間も、最後まで姿を見せなかった
から、本当に具合でも悪いのだろうかと、彼は心配になった。
エリノアが、今日のディナーの
メニューのことを気にしていた。
自分の姿を見た彼女の反応を見て、
ウィリアムは、
すぐにそのことに気が付いた。
彼女のことだから、
ほとんど出来上がっている料理を、
わざわざ作り変えるのは、
無駄なことだと考えたのだろう。
それも、もっともだと思えたので、
ウィリアムも自分に合わせる必要はない、そのまま変えずに
出してもらえればよいと、
夫人と下男に伝えた。
フルコースにしなくていいと
伝えたので、
そこまで大袈裟になっていなかった
けれど、メニューは、
いくつか増えているに違いない。
「とっても美味しいジャガイモですね」
ウィリアムは、そこを強調して褒めた。