円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
会話も流れるように続き、
ウィリアムは、
長女のメアリーと会話を続けていた。
どういうわけか、いつもと違う。
どこか物足りなさを感じていた。
いつもは、姉妹が彼の両側に座って
食事をするのだが、
今日はその片方がいない。
彼は、何度かその事を忘れていて、
「君もそう思うだろう?」
つい、横にいるはずのエリノアに、
無意識に同意を求めようとしてしまった。
「ウィリアム……ええっと」
彼が間違えて尋ねてしまう度に、
姉のメアリーが、言葉に詰まる。
それを気にしたアストン夫人が、
メアリーに目配せをして、
しっかりしなさいとけしかける。
そうして、訳がわからなくなった
内気なメアリーが、
余計に口を閉ざしてしまう。
彼は、気のきいた
言葉でなくてもいいから、
誰かに頷いてもらいたかった
だけなのだが。
メアリーにも、もう、
その役目をしてもらわなくても
いいと目配せをしても、
同じように、戸惑った笑い返すだけで、
彼は、物足りなさを感じた。
物足りない?
エリノアがいないという以外は、
まったくいつも通りなのに。
彼の頭に中に、こんな時エリノアなら
何というだろうか?
エリノアなら、
もっと違う言い方をするのに。
一日、彼女に会えなかったからとして、
この落胆ぶりは何だろうかと、
ウィリアムは、ため息をついた。