円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
気がついた時には、
彼は、こういっていた。
「ところで、エリノアはどうしてますか?まだ、具合がよくないんですか?」
「エリノア?」
母親がメアリーの方に目をやる。
母が困惑した表情で長女を見つめる。
「エリノアは、ベッドから出られないほど具合がよくないのですか?」
ウィリアムは、退屈であくびが出そうになっていた。
そろそろ、エリノアの様子を見にいく
口実に、この場を離れてもいいだろう。
「ええ、実は、午後から急に
熱を出しまして」
「それは心配だな。やはり、
雨に降られたのがいけなかったんですね」
彼は、すっと立ち上がると、
ホールにある階段を上って、
エリノアの部屋まで通じる廊下の出た。
彼は、エリノアが生まれてから
彼女をよく知っていた。
ついこの間まで、
珍しい海外の品物が手に入ると、
こうして待ちきれずに部屋まで
もっていってやったものだ。
ずっと、家族の一員のように
過ごしてきたし、
熱を出して臥せっているなら、
見舞ってやってもおかしくないだろう。
自分は、彼女の兄のようなものだから。