円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
「アリス、いいところであった。
エリノアの具合が、
よくないと聞いたのだが。
エリノアはそんなに悪いのか?」
ウィリアムも、エリノアが昼の間、
元気に畑を歩き回っていたのを
知っている。
だから、病の可能性は、
低いと分かっている。
それなのに、夕食にも出て来られない
理由は、何だろうかと気にかかった。
それ以上に、同じ屋敷の中にいるのに、
彼女の顔も見られないのは、
少し寂しいと思った。
「えっと、ウィリアムさま。
エリノア様は、ただいま、
お休みになっていらっしゃいます」
と言った傍から、エリノアの声がした。
「どうしたのアリス?
そこに誰かいるの?」
アリスがばつの悪い顔をしている。
「お嬢様……」
「どうやら、大丈夫そうな声だね。
だったら、入らせてもらうよ」
彼は、嬉しそうに、
ドアに手をかけようとした。
ところが、アリスは、
ウィリアムの行く手を邪魔した。
邪魔しただけでなく、
部屋の中のエリノアに向かって、
大声で叫び出した。
「ウィリアム様が、
いらっしゃいましたけど……」