円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~

「本当にウィリアム様を
お通ししてもよろしんですか?」

「いいわよ。
せっかくのチャンスじゃないの」

「では、本当にお言葉通りいたしますよ」

「ええ、いいわ」

アリスは、部屋の外にいる
ウィリアムを呼びに行った。

彼は、待ちくたびれたように
アリスより先に入っていった。


ウィリアムは、
彼女を気遣いながらそっと入る。


エリノアは、さっきと同じ、
ベッドに腰を掛け窓の外を見ていた。

彼女は、ウィリアムに気が付かないように、ずっと窓の外を見ている。


「エリノア?」

ウィリアムが、彼女に声をかけた。


「なに、ウィリアム?」


エリノアは、辛抱強くタイミングを
見計らって、オートミールと蜂蜜を
混ぜたものを厚く塗った顔を、
ウィリアムに向けた。


彼女は、とっても落ち着いて
一連の動作が出来た。


乾燥して、少し干からびてはいるが、
ほの暗い蠟燭の明かりのもとでは、
皮膚がただれているように見える。


「うっ……」

< 52 / 195 >

この作品をシェア

pagetop