円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
「本当にウィリアム様を
お通ししてもよろしんですか?」
「いいわよ。
せっかくのチャンスじゃないの」
「では、本当にお言葉通りいたしますよ」
「ええ、いいわ」
アリスは、部屋の外にいる
ウィリアムを呼びに行った。
彼は、待ちくたびれたように
アリスより先に入っていった。
ウィリアムは、
彼女を気遣いながらそっと入る。
エリノアは、さっきと同じ、
ベッドに腰を掛け窓の外を見ていた。
彼女は、ウィリアムに気が付かないように、ずっと窓の外を見ている。
「エリノア?」
ウィリアムが、彼女に声をかけた。
「なに、ウィリアム?」
エリノアは、辛抱強くタイミングを
見計らって、オートミールと蜂蜜を
混ぜたものを厚く塗った顔を、
ウィリアムに向けた。
彼女は、とっても落ち着いて
一連の動作が出来た。
乾燥して、少し干からびてはいるが、
ほの暗い蠟燭の明かりのもとでは、
皮膚がただれているように見える。
「うっ……」