円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
と一瞬ウィリアムは怯んだ。
でも、ちょっと待ってよ。
こんなふうに、たった数時間で
皮膚がボロボロなるなんて、あり得ない。
そう思って、彼はすっと手を伸ばし、
エリノアの顔から、崩れた部分を
ほんの少しつかんでみた。
「なんだ、これは……」
ねっとり指にまとわりついて、
本当に気持ち悪い。
「なあんだ、ウィリアムったら、
それだけ?もっと驚かないの?」
「僕を驚かそうと思うのなら、
もう少し、手の込んだ仕掛が必要だね」
ウィリアムは、彼女の病気が
何ともないと分かって、
安堵したものの、
いいようのない疲労感に襲われた。
なんだ、あれは?
子供の頃の反応とまるで
変わってないじゃないか。