円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
「アリスったら、
私なんかよりもよっぽど、
ウィリアムのことをわかってるのね?」
アリスは、余計なことを言ったと
思って、口を閉じた。
噂話など、どこから洩れるか分からない。
滅多にするものではない。
彼女は、ウィリアムのこと
をよく知っているのではなかった。
ウィリアムの執事であるルーカスから、
聞いた話をそのまま、
エリノアにしてしているだけだ。
彼とアリスは、同郷の村の出身だった。
時々使用人同士で顔を合わせる。
「それは、私が、
ウィリアム様だけではありません。エリノア様に関わることは、
何でも把握しておかなければ
なりませんから」
「ふ~ん。ウィリアムがそう思ってる
なんて、どうしてわかるのよ」
「お嬢様の姿を見た時に、
すぐに私に大丈夫なのか?
と目でお尋ねになりましたよ。
本当に、お優しい方ですね」