円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~


父は、読書家というほどではないから、
家にびっくりするほどの
蔵書があるわけではない。

書斎規模は普通だし、
父の蔵書のほとんどが、
仕事関連で集めた本で、政治の本や法律の本が多くを占めていた。


それに、エリノアが見たい種類の本は、
ほとんどなかった。

父は、農業関連の本は、
蔵書にほとんど入れていない。

しかも、父はきちんと分類せず
適当な場所に突っ込んである。

エリノアは、根気よく
それらしき本がある棚のところへ
行って、背表紙のタイトルを
確認していく。

植物の本が何冊かあって、
その中に参考になりそうなものがあった。



父は、法律系以外の本を
ほとんど手に取らないせいか、
そういった類の本は、
エリノアが踏み台に上がっても、
手の届かない高い位置にある。

踏み台の上に、さらに物を置いて、
もう一度手を伸ばす。

もう少しで手が届きそう。
そう思った時に

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