円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~


その日の朝食の時、
伯爵家の舞踏会の話題が出た。

アストン夫人は、この話をしたくて
昨日からそわそわしていた。

「来月、伯爵家で舞踏会が
開かれますけど、ウィリアムは
もちろん参加するのでしょう?」

夫人がいてもたってもいられず、
ウィリアムに尋ねた。

「もちろんですよ。
僕は、是非、最初にエリノアと
踊りたいと思ってますから、
エリノア、必ず来てくださいね」

アストン夫人は、
自分の娘を選んでくれて嬉しいと
ウィリアムに心から感謝の意を述べた。

アストン夫人は、甥っ子から、
長女のメアリーの名前を最後まで、
聞き出すことが出来なかったので、
がっかりして口を閉ざしてしまった。

アストン夫人は、エリノアの美しさは、
メアリーの半分以下であるから、
ウィリアムの相手は、
メアリーの方が相応しい。

ただ、それだけの理由で、
ウィリアムの相手は、
メアリーだと決めつていたのだった。

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