円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
御者の仕事をしているジョンは、
屋敷の横に馬車を止め扉を開けた。


「エリノアさん、ここで降りて」

「ここで?」

ここはどこだい?
エリノアは馬車を降りる前に、
屋敷のどこに当たるのか窓から
外を見ていた。

「早くしてください、ここ邪魔なもんで」

「わかったわ」

ジョンは普段通り。
あっさりしたもので、
エリノアが下りるとドアをパタンと
閉めてしまった。


「あそこにいてくれ」

彼は、
屋敷の通用口の方を指さしていった。

「誰もいないわよ、ジョン」

「荷物があるだろう?
あんたの姉さんの。
荷物の荷物がしこたま置いてある
ところにいろよ」

「いろよ?」

ジョンは、
エリノアの剣幕にもひるまず言った。


「あんた、どう見ても使用人だぜ」


「そう?ちゃんとそう見えるかしら」

服装を変えただけで、
レディにまったく見えないと
言われるのも問題だけど。

変装が板について、
本当に使用人に見えると言われると、
それはそれで悲しい。


「うん、まあ、動きがおかしいのは、
なおんないけどな」


「そうね。そうかもしれない」

やっぱり、どこかでレディでる部分も
残っていないと。
エリノアは、
そう言われて少しほっとした。


エリノアは、ジョンに言われた通り
屋敷の横の通用口に向かった。

「何、これ!」

彼女は、そこでも声をあげた。
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