円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
やっと、侯爵様の荷物が運び込まれ、
自分たちの番だと思って、
エリノアは期待してると、
またもや先を越された。


「何やってるのよ。
あの男たち、人が並んでるのに
見えてないの?」
エリノアも段々イライラしてきた。

「俺が悪いんじゃない。
こっちよりも、爵位を持った貴族の方が
順番が先なんだ。
そんなことも知らないのか?」


「知ってるけど、
こんなところまで徹底してるなんて、
知らなかったわ」

「人間、知らないことは
たくさんあるもんだ。
怒られて一人前になる」

「あんたに言われたくないよ」

「まあ、そうだな」


「ああ、もう、何とかならないの?

本当に無駄だわ。こんなの、
もっと効率よくさばけばいいのに」


「まったくだ」

長い間待たされて、ようやく順番が来た。


エリノアは、メアリーの衣装ケースを軽々と運ぶ男たちと一緒に、
階段を上っていった。

荷物の大きさは、
ゆうに彼女の背丈ほどもある。

屋敷の横から入って行くと、
そこには専用の階段が付いていて、
そこを忙しそうに、
使用人がいったり来たりしている。
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