円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
エリノアは、ようやく
メアリーの部屋についた。

エリノアは、
挨拶もすまないうちに、こう言った。

「ねえ、メアリー喉が渇いたの。
何か飲むものない?」

「まあ、お茶の時間には、
まだ早いわよ、エリノア」
メアリーは、妹の様子に驚いた。

髪は乱れてるし、
額には汗までにじんでいる。

「冗談じゃないわ。
ここまでくる間に、何回、
階段を上ったり下りたりしたのか
分からないんだから」

エリノアは、ここにたどり着く前に、
知らない爺さんに
「ペンを持って来てくれ」
と言いつけられた。

使用人の格好をしてるのだ。
雑用を頼まれルるのは、仕方がない。

けれどその対応に苦労した。

ペン1本持って行くのだって、
簡単ではない。

まず、ペンが、
どこにあるのか分からない。

だからどこにあるか、
分かる人に聞かなければならない。

誰に聞けばいいのか分からないから、
さらにそこから、
尋ねなければならない。

屋敷の中を走り回って、
ウィリアムの執事のルーカスを見つけて、
ようやく、ペンを届ける
ことが出来たのだった。
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