円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
「エリノア様、
紅茶のご用意が出来ております。
しばらく、このお部屋に
いらっしゃってください」
アリスが、
お茶の用意をテーブルに置いた。
さらに、このアリスという侍女は、
こんなに働いて、
どうして 疲れないだろうか?
どう見ても、エリノアの倍は働いている。
「でも、アリス。衣装係としては、
これからが忙しいんでしょう?
持ってきた荷物を整理して、
ドレスにブラシをかけなくては、
いけないんじゃない?」
とうていそんな気分には、ならないが、
ここで休んでいては、
この格好で来た意味がない。
「どうして、そんなことまで、
ご存じなんです?」
「さっき、他のメイドたちが、
話しているのを聞いたの。
だから、アリス、お茶だけ飲んだら、
すぐに私も下に行くわ」
「お嬢様、使用人の仕事は
よくお分かりになったと思います。
ですから、もう、元の姿に戻られては?」