円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
アリスは、エリノア達が使っている
正面玄関に通じる階段を通りすぎ、
館の隅の方にある
目立たない階段を使った。

ここは、裏の階段みたいに、
表からは見えない。

屋敷の豪華な内装に比べて、
こちらはリノリウムの床に、
しっくいの装飾してない壁。
まったく、殺風景な壁だ。

エリノアは感心した。

さっきまで上にいたアリスが、
自分たちより先に、
下の階についているのは、
この二重階段のせいなんだと思った。

上の階のものが、
こういう場所に立ち入ることは、
あまりいいことではないとされている。

だから、エリノアは
面白そうに、使用人たちが行き交うのを
眺めている。

エリノア達は1階に着くと、
ランドリールームに向かった。



「なに、ここ?」

「ランドリールームです。
アイロンをかけますので」

あっちへ行ってろっていうわけね。

そうは、行かないから。
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