円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
すぐに、ミーガンという
メイドが呼ばれた。
颯爽としてやって来た彼女は、
すらっとしてとても美人だった。
同じメイドでも、
彼女はどうしてこんなに優雅なんだろう。
エリノアは思う。
メイドにも二種類ある。
主人と直接会って、
話ができる上級使用人と、
階下で上の人たちと、
顔を合わすことなく、
ひたすら仕事をこなす使用人。
侯爵夫人付きのメイドは、
侍女ほど偉くはなかったけれど、
常に侯爵夫人のそばにいて、
いつもきれいな状態に仕上げておく。
最新のファッションを取り入れ、
衣装や髪形を整えたり、
夫人の肌や紙に触れたりできる、
下っ端のメイドには、
雲の上の存在だった。
彼女自身も容姿だけでなく、
身のこなしも優雅な感じのいい人だった。
その上笑顔も美しく、
「何とか大丈夫よ、分からないように、
誤魔化せるわ」
と言われた時、エリノアは、
彼女のことを本当に天使だと思った。