円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~


衣裳部屋には、
侯爵夫人が使用する衣装が
一部屋に収まっている。

ミーガンは、ここで衣装を選んで
部屋までもっていくのだ。

部屋には小さな机があって、
そこにお化粧の道具だとか、
髪をセットする道具だとかが
置かれている。

「ちょっと待ってね。
髪にブラシを入れるから。
あなたの髪って、本当にきれいね。
お手入れ自分でやってるの?」

ミーガンがエリノアの髪に
触れながら言う。

「いいえ、ほとんどがアリスに
やってもらうの」

「アリスさんに?本当に仲がいいのね?」
ミーガンが驚いて言う。

「ええ……」
ミーガンはエリノアの髪をきれいに
まとめ上げて、白いカバーで覆った。

「これでいいわ」

「ありがとう」

エリノアは思い切って、
ウィリアムのことを尋ねて
みようと思った。

「ねえ、ミーガン、
ブラッドリー卿のことについて
聞きたいんだけど」

「いいわよ。でも、私、
接点がある訳じゃないから、
よく知ってるとは言えないけど」

「そうよね。
でも、見た感じの印象でもいいわ」

「悪い人じゃないわ。かといって、
あんまり魅力的じゃないわね」

「そうなの?」ぎょっとした。
ウィリアムが、魅力的かどうかなんて
考えたことがない。

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