円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~

「そうね。リディアさんが一生懸命、
ブラッドリー卿の気を引こうと
してるけど、
あんまり見込みがなさそうね。

彼は嫌気がさしたのか、
適当にあしらって相手にしてないわ」

「リディアさんって、
アメリカ人のお客様の?」

「そう。リディアさんよりも、
ブラッドリー卿の従兄妹姉妹の方が、
親しいんじゃない?
いつも、嬉しそうに話しているもの」

「そうよね、ブラッドリー卿は、
レディメアリーと親しいものね」

「違うんじゃない?親しいのは、
メアリーっていう長女の方じゃないよ。
ほら、何て言ったけ?
いつも難しそうな顔してる、
キレイな方じゃない妹の方よ。

ほら、いつも、舞踏会に来ても
本ばっかり読んでる妹さんの方。

ブラッドリー卿は、なぜか、
妹さんの方と仲がいいわ。

パッとしない方が、可愛いんだろうね。
きっと、ほら、出来が悪いほど
かわいいっていうじゃない」

エリノアは、出来が悪いといわれて、
軽いショックを受けた。


「ブラッドリー卿みたいな
遠い人のことより、
一番の男前は、ルーカスさんじゃないの。
彼、話しかけても全然、
相手にしてくれないわ。どうしてかしら」

「彼って、一途だからなあ」アリスに。

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