覚醒者3号-第二次調査報告-
私は少女の目線になるように身を屈めた。

「貴女、この村の子?」

「……」

少女は微かに首を横に振る。

「どうしてここにいるの?」

「……」

「誰かとここに来たの?」

「……」

「村の人達に酷い事とかされたの?」

「……」

私がどんなに話しかけても、少女はそれ以上反応しようとしない。

少し俯き加減に、無表情のまま視線を合わせない。

まだ私を警戒しているのだろうか。

それともこの村で恐ろしい目に遭い、失語症の類になったとか…。

あまりに強いショックを受けた場合には、稀にある話だ。

…とにかく、私以外にもこの村に正気を保っている人間がいてよかった。

この少女も連れていこう。

こんな少女をこのまま危険な村落に置いていく訳にはいかない。

< 32 / 69 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop