BAD & BAD【Ⅱ】




善兄に会ってもバレないような変装をしなくちゃ。


面倒くさい。会いたくない。……ってグダグダ言ってても、時間の無駄だ。やるっきゃない。




目立たないグレーのフード付きのパーカーの上に学ランを羽織って、ズボンを履いて、レンズなしの伊達めがねをかける。


最後に髪を高めの位置に結った。



私がポニーテールにすると、どことなく武士感が出るのなんでだろう。


まあいっか。これで完成だ。



鑑の前に立って、注意深く確認してから、部屋を出た。





階段を下りて、ぶつくさ文句を呟きながら待っているであろう朔のいるリビングに入ろうとした直後。



「……まだ、放任主義を続けてるのね」



静けさを切る、いちごさんの声が聞こえてきて、思わず足を止めた。


影に身を潜めて、話を盗み聞く。



「いつまで続けるの?」


「ずっとよ。緊急事態じゃない限り、ずっとこのままやっていくつもり」



また、感謝が積もっちゃったな。


お母さんとお父さんに、また今度ギュッとしよう。



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