BAD & BAD【Ⅱ】
「心配じゃないの?」
「心配に決まってるじゃない」
お母さんは笑いながらそう言った。
うん、そうだね。心配してくれてること、言われなくてもちゃんと気づいてる。
「でも、あの子はもう十分強いから、いちいち心配してる気持ちを伝えていたら、あの子から自由を奪っちゃうわ」
ありがとう。
私の強さの在り方を、理解してくれて。私の自由を、陰ながら守ってくれて。
お母さんとお父さんは、いつだって、私を想ってくれている。
私に対する愛情表現の形が変わったのだって、全部私のため。
浅く呼吸を繰り返して、爽やかな顔でリビングに入った。
「朔、お待たせー!」
「おっせぇよ」
「これでもハイスピードで頑張ったんだよ?褒めてほしいくらい!」
「誰が褒めるか。だったら文句も言わずに待ってやった俺のことを褒めろや」
「そんじゃ行きますか」
「スルーすんな!」
だって、朔のこと褒めたくないもん。待ってやったって図々しすぎるし。ムカつく。
玄関でスニーカーを履いて、扉を開けて、元気よく外に飛び出した。
「行ってきまーす!」