BAD & BAD【Ⅱ】
「これに出ろってこと?」
「ああ。桃太郎がお前に変われだとよ」
「それならそうと早く言ってよ」
スマホを右手で受け取って、電話に出る。
桃太郎はどこにいるんだろう。
「ハロー、桃太郎」
『何がハローだ、このやろう!心配させやがって!!』
声量、でかっ。
耳がキーンってなったよ。
『無事なんだろうな!?無事じゃなかったら、殴るぞこら』
「そんな理不尽な」
桃太郎の叫びは、ほんの少し震えていた。
多くの仲間に想われて、私は幸せ者だ。
「無事だよ」
『本当だな?嘘だったら承知しねぇぞ』
「本当だって。元気元気!」
怖かったけど、苦しかったけど、自由になれた。
私が、私らしくいられるのは、皆のおかげ。