あの夏をもう1度
「あなた沙耶ちゃん?」



あいちゃんのお母さんがあたしに声をかける。



なんで。
なんでこの人にあたしのこと話してるの。



「おい、香澄」



駿太があいちゃんのお母さんを止める。



〝香澄〟って呼んでるんだ。



1年たってわかった。
あの時の真実。


現実を突きつけられた。



「だってそうでしょ?」


「…そうだけど」



駿太が気まずそうに答える。



「やっぱり!」



香澄さんがあたしの元に走ってくる。



「え?」


「駿太に聞いてたとおり!かわいい!」



香澄さんがあたしの手を握る。



「よくそんなこと言えますね」



自分がいままで出した声のなかで一番低いんじゃないかって声がでてた。


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