あの夏をもう1度
「え?」



香澄さんがきょとんとした顔になる。



「だってそうでしょ?あたしと駿太は付き合ってたんですよ?」



1年前のあの日のことを思い出して胸が苦しくなる。



「…そうよね」



香澄さんが悲しそうな顔になる。



「別に香澄がいなかったら別れてなかったって保証なんてねぇよ」



駿太がぼそっとつぶやく。



「駿太!なんでそんなこと言うの!」



香澄さんが駿太のことを叩く。



「…そのとおりだね。遅かれ早かれ別れてたかもね。
いこ。圭太」



あたしは圭太の手をとる。



──グイっ


後ろからなにかに引っ張られる。



「駿太?」



駿太に引っ張られてた。



「なんで手なんて繋いでんの」



聞こえたのは弱々しい駿太の声だった。





< 23 / 29 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop