24歳、恋愛処女
「なに、お願いしたの?」

「えっと。
……世界平和?」

誤魔化しはしたけれど、嘘はついてない。
私の世界が平和でありますように、だもん。

「壮大なお願いだね。
僕は……」

真人さんが身を屈めて、私の耳元に顔を近づけてくる。

「……彩夏が僕を、選んでくれますように」

顔を上げると、固まってる私に小さくくすりと笑った。

「ここ、縁結びの御利益もあるんだよ。
知ってた?」

ぶんぶんと首を横に振ると、また私の手を取って歩き出す。
いまが見頃らしく、牡丹園の中を見て回った。

「雪が積もったらもっときれいだったのにな。
雪の日に、また一緒にこよう」

いつかはわからない、先の約束。
頷いていいのかわからなくて、躊躇った。
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