24歳、恋愛処女
ふるふると首を振ると、真人さんが抱きついてきた。
縋るようなその手に泣きたくなる。

「真人さん、いいですよ」

「彩夏?」

「私が叶えてあげて。真人さんのお祖母さんの願い」

びくり、背中で震える手。
ゆっくりと離れ、私をのぞき込むその顔は驚きで満ちている。

「……いいのか?」

「はい」

「ごめんね。
彩夏は初めてなんだから、スイートルーム取ってもっとロマンチックにするはずだったのに」

私の顔を掴み、ふれた唇に身を任せる。
ソファーじゃなくて、ちゃんとベッドに連れて行ってくれた。

「できるだけ、痛くないようにするから」

「……お願いします」

真人さんの手が、唇がふれると、そこから熱が点っていく。
痛みが引いて目を開けると、真人さんと視線が合った。
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