24歳、恋愛処女
「今日、また発作を起こしたって連絡が入った。
幸いすぐに落ち着いたみたいだけど、次こんなことがあったらどうなるかわからない。
もう、祖母を待たせられない」

「……そうなんですね」

やっと上がった顔に、背中から離れた。
私の顔に視線を向けた、レンズの奥の瞳には涙が僅かに光ってる。

「祖母はずっと、僕の支えだったんだ。
祖母だけが、僕が無理してることに気付いてくれて。
無理しなくていいんだよ、って」

「はい」

「よく、口癖のように僕のお嫁さんが見たい、できれば僕の子供を抱きたいって。
祖母の願いは絶対に叶えたかったんだ」

思わず、ぎゅっと真人さんを抱きしめた。

私は狂おしいほどに、この人が愛おしい。
こんな弱いところも、優しいところも。
全部、全部。

「……真人さん」

「ごめん、彩夏。
理央に怒っておいて、こんなことしてたらダメだよな」
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