24歳、恋愛処女
エレベーターの前に着くと、そこに立っていた人に思わず回れ右をして逃げ出していた。

「彩夏!?」

必死に走ったにも関わらず、すぐに追いつかれた。
肩に手が掛かって、後ろを向かされる。

「どうして逃げるんだ!?」

朝の通勤時間、少なくない人たちが私たちにざわめき出した。

「昨日、何度も連絡したのに返事がなくて心配したんだ。
なに、してたんだ?」

なにも云えなくてただイヤイヤと首を振り続ける私に、肩を掴む手に痛いくらいに力が入る。

「第一彩夏は電車通勤だろ?
なのになぜ、ここに?」

私に問いかけながらも、真人さんの視線はずっと先に向かってる。
そこに立ってるのは……きっと、理央。

「理央になにかされたのか?」

「……ごめんなさい」

「理央が無理矢理、したんだろ?」
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