24歳、恋愛処女
「……ごめんなさい」

「彩夏!」

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」

きつく肩を掴んで揺する真人さんに、私はただひたすら謝ることしかできなかった。

 
騒ぎを聞いて駆けつけた田中さんに、とりあえずあたまを下げる。

「いろいろあるとは思うけど。
女の子を泣かせちゃいかんよ」

「……すみません」

諭されてる真人さんに、叫び出しそうになった。

悪いのは私なんです!
 

あとでちゃんと話そう、三人でそう約束して仕事に向かう。
職場に入ると、騒ぎはすでに広がってるらしく、視線が痛かった。

「……最低」

いまは私を見下す佐伯さんの言葉にさえ、云い返すことはできない。
さらに、兄から追い打ちをかけるメッセージ。
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