24歳、恋愛処女
「本当に、申し訳ございませんでした」

再びマスクをはずし、謝ってくる荻原先生に慌てて両手を振って止めた。

「いいんですよ、別に。
それでなにかあったわけでもないですし」

「でも」

「それに荻原先生あの日、型どりした日、もしかしてお疲れだったんじゃないですか?」

荻原先生が驚いて私を見つめてくる。

「どうして、そう?」

「なんかため息付いてましたし……。
疲れてたからミスを犯していいなんて云いませんけど、ちょっと仕方なかったかも、とも思います」

「……ありがとうございます」

ほっと笑った顔が、いつもの嘘くさい笑顔と違って素の顔が見えた気がした。

「それでもやはり、こういうミスは許されることではないので。
本当に申し訳ありませんでした」

「だからもう、別にいいんですって」
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